【コラム】コーヒーの昔々【おばた】

~イスラム世界で嗜好品へと発展したコーヒー~

次はカルディ少年の伝説から興味深い点をピックアップして話をより広げていきましょう。

カルディ少年のお話ではコーヒーがイスラム教の夜間礼拝という宗教的行事に活用されていたとありましたが、実はこれは紛れもない事実です。

コーヒーはその起源から元々はイスラム世界の飲み物でした。

当初は宗教的な集会に居眠り防止として活用されていたコーヒーですが、徐々に大衆へと広まっていきます。ここで嗜好品としての飲用が発展していくことになります。

嗜好品として楽しまれるようになると、ついには史上初のカフェとも言えるカヴェ・カーネスというコーヒーハウスが登場します(15世紀頃)。
戒律で酒類を禁じられていた当時のイスラム教徒たちの間でコーヒーは酒の代用品としての地位を確立していったのです。

が、このコーヒーの流行は当時のイスラム教徒にとって戒律的になかなかスキャンダラスな楽しみであったそうで、その後何度かコーヒーは厳格な戒律主義者たちの迫害を受けることになります。

現代の我々ではなかなか想像し難いですが、西暦1511年のメッカではコーヒーにうつつを抜かす民衆の姿が当時の統治者の怒りを買い、なんと禁酒時代ならぬ禁コーヒー時代が訪れました。

コーヒーの飲用が戒律的に許されるか否か当時の医師らを交えた大論争にまで発展しました。
一時は反コーヒー派の勝利で決着がついたのですが最終的には判定が覆り、公にコーヒーの飲用が認められ晴れて民衆はコーヒー飲用の自由を取り戻すことができました。

コーヒーの持つ魔力ゆえか、こうした騒動はコーヒーが伝播した先々で起こっていきます。
しかしどこへ行っても最終的にコーヒーは公に受け入れられ嗜好品としての地位を確立し、各地で人々の生活に溶け込んでいきました。

コーヒーつよい。