【コラム】コーヒーの昔々【おばた】

~コーヒーの魔力~

元々イスラム世界の飲み物であったコーヒーですが、世界中に伝播していく過程でとある壁を超える必要がありました。

それは宗教の壁です。

元々イスラム世界の飲み物であったために、コーヒーが流入したばかりのキリスト教徒の間では物議を醸しました。

伝承によるとコーヒーがローマへ伝播したばかりの頃、キリスト教司祭らは教皇へこう主張しました。

「悪魔サタンはその信奉者であるイスラム教徒へ酒の飲用を禁じたが、その代わりとしてコーヒーというおぞましい飲み物を与えた。キリスト教徒にとってコーヒーを飲むということは、悪魔サタンの罠に自ら陥るということだ」

このように異教徒の飲み物であるコーヒーを取り締まろうと主張したのです。

そこで当時の教皇は悪魔サタンの飲み物がどんなもんかと気になり自分のもとへ持って来させました。

するとあろうことか当時のローマ教皇、あまりのコーヒーの香りの良さにそそられて悪魔サタンの飲み物をうっかり口にしてしまいます。

コーヒーを口にした教皇の主張は以下の通り。

「このサタンの飲み物はこんなにおいしいのに異教徒しか飲めないのはなんか勿体なくない? 洗礼を施してサタンを欺きキリスト教徒の飲み物にしちゃおう!」

この教皇、がっつり悪魔サタンの罠にハマっていたようです。

それかサタンの罠などではなく、コーヒーそのものに秘められた魔力にやられていたのかもしれません。

コーヒーが伝播する先々で色々な騒動を起こしながらも、最終的にはその香りと効用で人々を魅了し受け入れられてきた事実を踏まえると、この伝承も本当にあったことかこかなと思えてきます。

人類は1000年以上も前の遥か昔からコーヒーの魔力に魅了され続けていて、今でもそれは変わらず続いているのかもしれません。

僕はとにかく合法的に堂々とコーヒーを飲用できる時代に生まれて良かったと思いました。

本当に。